〜 告白 〜
 第二章
〜 神羅カンパニー・シリーズ 〜
<9>
 ジェネシス
 

 

 

 

「ああ、こりゃァ、思い切りやられちゃったね〜」

 軍用車から降りて、思わず声が漏れた。

 神羅本社へ続く、五番街はそれでもまだマシだった。

 西区画を抜け、通称LOVELESS通り……六番街、八番街方面に進むと、なかなかヒドイ状況だ。

 

「目撃情報はこのあたりだと言っていたな、ジェネシス」

「ああ、それ以降、メールは来ていない。だが、もう大分時間が経っている。いつまでも同じ場所に留まっているとも思えないが……」

「俺たち三人しかいないんだ。消息を絶った場所を探索するのが定石だろう」

 さっそく、アンジールは大剣を手にしている。

 捕り物はたった一匹……いや、ひとりなのだ。

 だが、そいつの『気』に反応してなのだろう。今はめったに姿を現さなくなったモンスターが街中を徘徊している。

 市街地で負傷した人たちは、むしろ扇動されたそやつらの所行に巻き込まれたらしい。

「どうするか。三人一緒に動くのは脳がないな」

「ああ、そうだな。……っと」

 がれきに身を潜めていた獣型のモンスターが、不意を突いて飛びかかってきたのだ。

 軽く身を躱して避けると、ザックスがそいつを始末してくれた。

「アンタさ……一応、トップソルジャーなんだから。避けるんじゃなくて斬れよ」

「ごめんごめん」

 と軽く返すが、ザックスの焦燥が伝わってくる。

 七番街、八番街から、ずっと円を描くように歩みを進めてゆくと、スラム街の教会あたりに出るのだ。

 五番街の外れに、地下へ続くエレベーターがある。

 だが、それは誰でも自由に使えるものではない。いわゆる神羅カンパニーの『業務用』だ。

 『上』で出たゴミを、スラムの廃棄物処理場まで輸送するためのもの。今は当然、厳重に施錠されている。

 

「クソッ! モンスター共が湧いて出ている! 早く人造人間を見つけなければならないが、こいつらを放っておくわけには……」

 いかにもアンジールらしい。

 ラザードの話から想定したよりも、数多くのモンスターがうろついている。

 大した力を持たぬ輩も多いが、丸腰の人間相手ならば、襲いかかる可能性は十分にある。

 

 

 

 

 

 

「ザックス、おまえはスラム街を見ておいで。街のシェルターが降りていればそれでよし。公園や教会辺りの小集落が気になる」

 上官としての口調で指示を出すが、ザックスはおのれに配慮してくれたと理解したのだろう。

「了解! 任せてくれ、ジェネシス!」

 と、力強い声で応え、それこそ子犬のように全力で突っ走っていった。

「おい、ジェネシス。あいつひとりで行かせて大丈夫か? スラムの状況について、統括は何も言わなかったが……」

「可愛い子には旅をさせろっていうだろう。人は愛する者のために、信じがたい力を出すものなのだよ」

「そうだな……それはそうだ。愛する者らを守るためには…… って、な、何ィ? 今のはいったい……」

 鈍感星人のアンジールも、さすがに引っかかったのだろう。

 慌てて訊ね返そうとするが、今はそんな話をしている場合ではなかった。

 

「アンジール、ちょっとゴメン。電話するから俺を守ってくれ。顔に傷など作りたくないしな」

「え、あ、お、おう?」

 

 ラザード統括の緊急用の携帯にコールする。

 アンジールに聞こえないよう、二言三言会話し、すぐさま切った。

 

「終わったよ。フフ、大剣を構えたおまえに向かってくるモンスターはいないか」

 短いやり取りの間、結局彼にも、電話をしていた俺にも、やつらは襲いかかってはこなかったのだ。

 

「アンジール、すぐに残りのソルジャーらと一般兵の部隊が十番街に集結する。ここからだと少し距離があるが……行って指揮を執ってくれ」

「な、なに? 極秘裏ということで、タークスの一部と俺たちにしか知らされていないのだろう?」

「そうだよ。だから、彼らにはモンスターの駆除と治安維持をお願いする。……勝手に決めて悪いが、上手くやってくれ、アンジール」

 片手を拝むように差し出し、頭を下げた。