Summer storm
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<3>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

 

 

「ええと、私はソファで休むから……セフィロスとクラウドはベッドを使ってくれ」

 きちんとベッドメイキングを整え、ヴィンセントが言った。

 俺とセフィロスは、枕持参でヴィンセントの部屋に、ホームステイなのだ。

「ええッ? ダメだよ、ヴィンセント、足が出ちゃうだろ。風邪引いたらどうするんだ!」

「いや、寒い季節ではないし……今夜だけだから……」

 困ったように微笑んで、そういうヴィンセントを横目に、クソ図々しいセフィロスが、ズカズカとヴィンセントのベッドに入り込む。

「ちょっ……オイ! アンタ、図々しいなぁ! セフィがソファで寝てよ!」

 無駄かと思ったが、そう言ってみる俺。

 なぜなら、俺、ヴィンセント、セフィロスという組み合わせで、俺とヴィンセントは恋人同士なのだ。

 と、なればあぶれたヤツが遠慮するのは、世の常なのである。

「ソファだと足が出るんだろ。おい、ヴィンセント、さっさとこっちに来い」

「え……」

「ちょっ……ふざけんなよ、アンタ!」

「仕方ないだろ、そのソファで、まともに寝られるのはおまえだけだ、チビ」

 フフンと鼻で笑ってセフィロスが言う。

「ううう〜……」

「い、いや、本当に……クラウド、セフィロスと一緒に休んでくれ、私のことは気にしないで……」

「ダメだったら! ヴィンセントがソファで寝るくらいなら……俺、こっちでいい」

 俺は苦渋の決断をした。

「フン、おまえも少しは大人になったか」

「うう〜……セフィロスのヤツ……」

「ク、クラウド……」

 おろおろと俺とセフィロスを見つめるヴィンセントを、これ以上困らせてはいけない。なによりパジャマ一枚の彼を、ふらふら起きあがらせては身体を冷やしてしまう。

「いいよ、大丈夫だから、ヴィンセント、それより……」

 俺は声をあらためて、セフィロスに言う。

「おい、セフィ、アンタ、今日は裸で寝るなよ! 服着ろよ!ヴィンセントと一緒のベッドなんだからな!」

「ハァ? 別にオレの勝手だろう」

「勝手じゃない! ここはヴィンセントの部屋でヴィンセントのベッドなんだからな!」

「ク、クラウド……別に私は気にしないから……」

「だそうだ」

「俺が気になるんだよーッ!」

「ほっとけほっとけ。早く入れ、ヴィンセント。そろそろ眠い」

 セフィロスがそう言うと、ヴィンセントは申し訳なさそうに、ソファの俺を見やったが、おとなしく彼の隣に滑り込んだ。

 

「ックシュン!」

 案の定、クシャミをするヴィンセント。

「じゃ、電気消すから」

 俺は憮然とした表情でダウンライトを消した。

 

「ッシュン……」

「おい、軟弱者。寒いなら、こっちに寄れ」

「え……あ、あの……」

「……暖かいだろう? 貴様は平熱が低いんだな」

「……あ、ああ」

「……まだ寒いか?」

「あ……す、少し」

「そうか……動くなよ……ホラ」

「え……? あ、あの……あ、セフィロ……」

「しっ……じっとしてろ」

「え……で、でも……」

「……動くとやりにくい……」

「……え……あ……」

「ふふ……」

「……あ……」

「…………」

「…………」

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁッ! ちょっとアンタ、何してくれてんだよォォォォォォォッ!!!」

 俺はジェット噴射のイキオイで、ソファから飛び起きると、電気をつけた。

 

「……なんだ、ガキ、まだ途中なのだが?」

「……クラウド?」

 風を起こす速さで、ベッドを振り返ると、

 きょとんとした表情で横になっているヴィンセント。半身を起こしたセフィロス。

  

 セフィロスは、ベッドに、もう一枚ブランケットを掛けているところだった。

 

「…………」

「どうした、ガキ……ふふ」

「クラウド、あ、すまない……うるさかったか?」

 あさってのセリフを口にするヴィンセント。

 

「……セ、セフィロス〜〜〜」

「なんだ、その恨みの籠もった眼差しは?……ふふふ」

「ク、クラウド?」

「やっぱ、ダメ。俺もそっちで寝る」

 俺はそういうと、ズカズカとふたりの間に割り込んだ。 

 

 10分後……

 

「……おい、何で川の字なんだ」

「ヴィンセントが心配だから」

「おまえが勝手におかしな想像をしたんだろう」

「うるさいな、ヴィンセントが起きちゃうだろ!」

 俺たちはヴィンセントのベッドに、セフィロス、俺、ヴィンセントの順番に川の字になって眠っていた。それが最大限の譲歩だった。

 

「セフィ、もっとあっち行ってよ、せまいよ」

「ふざけるな、クソガキが。おまえが邪魔なんだろーが」

「俺にはヴィンセントを守る使命がある!」

「布団掛けたのを、勝手に誤解したくせにエラそーに言うな」

「なんだと!」

「うるさい、アイツが目を覚ますだろッ」

「そ、そうだった……」

 こんなやりとりの末、俺たちは眠り込んだらしい。

 

 一刻も早く家の修理を終えねば……精神状態に関わる……

  

 ひとりつぶやく俺だった……