〜 あの懐かしき日々 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<39>
18禁注意
 セフィロス
 

 

 

 

 

 濡れ場の仕切り直しというのは、いささか照れくさいものだろうが、オレとクラウドは、互いに気心しれている。未知のカップルではなく、双方知り尽くしているわけだから、何の遠慮も要らない。

 そもそもヴィンセントのようなヤツと違って、クラウドはそっち方面には奔放なヤツなのだ。

 

「……すんなら、ちゃんとキスからしてよ。いきなり触んないで」

「さっきまで散々吸い付いてきたろーが」

「覚えてないもん」

 むくれた頬に、やれやれと口づける。

 そのまま唇の端に舌を滑らせ、形の良い歯列を割った。薄い舌をさぐるとクラウドのほうから、こちらに侵入してくる。

 ……やれやれ、何が乗り気でないんだか。

 だが、もともと最後までするつもりで、コトに及んだのだ。うっかりしていたが、彼がいきなり正気に返ったのはオレの誤算だったのである。だから、この展開はそう悪くはないなと感じていた。

「ん……」

 唾液のからまる濡れた音に、鼻に掛かった甘い声が混じった。唇を離すと、ハッと大げさに息を継ぎ、彼は拗ねたようにつぶやいた。

「セフィのキス、久しぶり。……むかつくけど、キモチイイ」

「ほぅ、そうかね」

「なに、その言い方! 気に入らないッ、ほめてんのに!」

「あー、悪かった悪かった」

 いちいち相手をしてやるのも面倒くさく、既に反応しつつある彼の中心に片手を添える。乱暴でなく、そっと包み込むと、「あン」と、アダルトビデオばりの喘ぎをもらすクラウド。

 ……そういや、以前、イロケムシが、

『あなたと兄さんはお似合いだよね〜! お互いに図々しくて絶倫系で!』

 などと言い放ったことがあった。

 ……なるほど、確かにコイツとオレは相性がいいらしい。ヴィンセントのように怯えて逃げ回るヤツを捕獲するのも趣があるが、最初からノリノリで居てくれると、よけいな手間は省くことが出来る。

 

 

 

 

 

 

「セフィ……早くぅ……ちゃんと……して、触ってよ……」

 下肢を蠢かしてねだるクラウド。

 失念されないよう、言い置くが、オレとクラウドはすでに繋がっている状態なのだ。その限定解除のための行為続行なのである。サービスしようにも、動きが取れないし、口でしてやれるわけでもない。

「痛いんじゃないのか?」

「……ん……もう平気、早くってば……」

 さきほどまでギャンギャンと座敷犬のごとく喚いていたくせに、どうやら続行可能らしい。普通の交わりなら、もう少し時間を掛けてやりたいところだったが、慣れた身体なら自分で快楽を追えるだろう。

「おい、動くぞ」

「ん……」

 上になったオレの背に足を絡めてくる。

 繋がった部分を引き抜く方向に動かすと、強い圧迫感があったが、食いちぎられるような痛みは感じなかった。愛撫に反応した身体が、すみやかにオレを解放してくれたのだ。

 

 ギッ……ギィッ……ギシッギシッ……

 

 律動に合わせて、ダブルサイズの寝台が軋む。

「んッ……あッ……あぁッ……」

「……ああ、抜けるな、大丈夫そうだ」

「そーゆーコト……言うなよ、アンタは……」

 吐息を弾ませながらも、不快を隠さないクラウド。

「……やはりきついか?」

「ん〜……そりゃね…… んッ……あッ……ぁ……」

「力を抜いて……呼吸を合わせろ。……昔、教えたろ」

 耳元でそういうと、彼は頬を昂揚させたまま、クスッと小さく笑った。

 

 後は、流れに任せて解放へ導く。

 もちろん、クラウドだけでなく、オレ自身も。

 相手が久々にこの子だったから……というわけではないが、共に登りつめ、そして一緒に堕ちたのであった。後味も悪くはなかった。

 

 ふたりで、寝台の上に寝そべって、呼吸を整える…… 満足のいく行為だと、この時間が何とも心地よい時間になる。

 だが、このときばかりは、今少し周囲に気を配るべきだった。

 いくら夜中とはいえ、一つ屋根の下……クラウドの状態が通常でないことは、この家の誰もが知っていたわけなのだから。

 そう、コトを終えたこの時点まで、オレは扉の向こうの気配を読めなかった。

 こいつは最大の失点であった。

 ギシッギシッギシッという物音が、揺れる寝台のそれに似ていたせいだろうか。

 そいつが、扉にのし掛かった重量オーバーを訴える音だとは気付かなかったのだ。