〜 あの懐かしき日々 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<38>
18禁注意
 セフィロス
 

 

 

 

 

 

 

 もどがしげにシーツを蹴る足を、肩に抱え上げる。

 流れに任せて閉じ合わされた瞼までが、薄桃色に染まっているのが何とも風情がある……などと、この後に及んで楽しんでいたオレは、今さらながらの大うつけだ。

 

「い``……ッ……」

 クラウドの口から、歯を食いしばるような悲鳴が漏れたときでさえ、何の迷いもなくコトを成就するつもりだったのだから。

「い``……い``……いっだ〜ッ!! え、な、なに? い、いたッ! 痛いッッ!!」

 途端に暴れ出すクラウド。

 そういえば、まだまだ慣れなかった頃は、大分泣かれて困らされたものだ……などと、オレは頭を巡らせていた。

 今、あらためて考えてみれば、修復された過去の想いに浸りすぎ、うつつを抜かしていたのだと思う。

「な、なにッ! これッ!! イタッ!! セフィ!? なにしてくれてんの、コレ〜ッ!!」

 クラウドが、無理やり身体を起こそうとした。

 さきほどまで、とろりとした目で忘我の淵を彷徨っていたはずなのに。

「痛いッ! 痛いってばッ!! ちょっ……よしてったら!!  どういうつもりだよ、セフィのバカーッ!!」

 

 ぐきっ。

 

 ソコから実際に音が出たわけではない。

 だが激痛のあまり、まるで目の前にパッと鮮血が飛び散るがごとき、幻覚を見たのだった。

 股間に焼きごてを押しつけられたかのような痛みが、稲妻のごとく背筋を貫く。

「ぐあッ!!」

 声を抑える余裕もなかった。

 オレとしたことが、このときは涙目になっていたかもしれない。いくら神羅の英雄と謳われても、ソイツばかりは鍛えようがないのだ。

「痛いッ!! 痛いってばーッ!! 抜いてよ、セフィ!! 早く抜いてったらッ!!」

 ヴィンセントが居たら赤面しそうな即物的な物言いで身体をよじるクラウド。だが、そんなザマを揶揄する余裕など、今のオレにあろうはずがない。こっちだとて己の分身を守るのに必死だ。

「ぐぅッ!! 暴れるなッ! おいッッ! 痛てッ!」

「ア、ア、ア、アンターッ!! いったい何考えてんの!? こんな強姦まがいのこと…… いくら、俺が綺麗で可愛くても無理やりこんなことするなんてッ!!」

 ……こんな状況にありながらも、強引に自己評価を高めるクラウド。

 この時点において、ようやくオレは現在の状況を正確に認識した。

 

 

 

 

 

 

 ……こいつは、半分夢見うつつでとろけていた、懐かしいあの子ではないのだ……

 身も心もしっかりと今現在のクラウド……なのである!!

「痛いッ! 痛いってばーッ!」

「この野郎ッ! 暴れるな」

 きちんと説明すればよかったのかもしれないが、このときはオレも必死だった。

 繋がったままのその部分は、今にも食い千切られんばかりだったし、その激痛に悲鳴を上げないでいるのが精一杯だったのだ。ついでにいうなら、頭ン中も真っ白で、すぐに名案が浮かぶでもなかった。

「セフィのバカッ! 俺、今はそっち側じゃないんだから!! いきなりアンタ相手に出来るわけないだろッ! 痛ッ! 痛いってば!! 痔になるーッ!」

「品のない物言いをするな!クソガキ。それより緩めろッ。オレのほうが不能になる!!」

「何勝手なこと言ってくれてんの? 自分で突っ込んでおいて! だいたいセフィは自己中なんだよッ! 昔だってヤリたい放題……」

「グッ! 暴れるな……ッ!」

「痛いってばッ! 動かないでよ!!」

「おまえが騒ぐからだろうがッ!」

「セフィが痛いことするからだろ!! このサディスト!! ゴーカン魔!!」

 『この野郎!』と怒鳴ってぶん殴ってやりたいところだったが、いかんせんこの状況だ。その動作を取ることさえも、激痛に阻まれる。

「クソッ…… おい、状況説明は後回しだ。いいか、クラウド、協力しろ」

「ハァ? なに……」

「このままだと抜けない」

「……え?」

「きつすぎて動けないし、動くとおまえが痛がるだろ」

「そ、そんな……なんで……」

「状況説明は後回しだと言っただろーが! 言っておくが、この状況は、オレのほうが相当つらいんだぞ」

 ……本音そのものだった。

 

「あー、ヴィンセント、ごめん、俺のせいじゃないからね。ケダモノのセフィが無理やり……〜、もうホント、ごめんなさい、すみません」

 両手を握り合わせて、アーメンと十字を切るクラウド。この状況で神に祈るか、バカモノが。どうせ祈るなら、オレ様に祈れ!!

「神様、ヴィンセントを裏切ったんじゃありません。ワタクシは被害者です。罰はこのケダモノに〜」

「おい、現実逃避せんで話を聞かんか、ボケ!」

 何とか威厳を保ったまま、声を励まし怒鳴りつける。

「もう、ホント痛いんですけど!? まな板の上の金魚ちゃんの俺にどーしろっての!?」

「何もしなくていい。……してやるから、おとなしく感じてろ」

「ちょっ……な、なに……」

「出せば緩むだろ」

「……ッッ!! フツー、モロにそういうこと言う!?」

 オレの意図していることを理解したのか、ボッと頬を上気させ怒り出すクラウド。

「他にいい方法があるのか!?」

 そう聞き返すと、彼は「う〜」と唸りながら目を逸らせた。

 ……とりあえず、出すものを出せば、ちっとは抜けやすくなるだろうし、この子の身体も弛緩するはずだ。即物的な方法だがこいつが一番手っ取り早いと思われる。

「うう〜……」

「唸るな。さっきまでは途中だったんだ。オラ、リラックスしろ。声を上げてもかまわんぞ」

「……誰がッ」

「真夜中でよかったなァ、クラウド」

 真っ昼間にこの状況になったらフォローのしようがない。

 不満げに眉間に皺をよせ、上になったオレを睨み付けていたが、もはや致し方ないと観念したのかようやく大人しくなってくれた。