ハローベイビー
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家&おまけの『うらしま』〜
<19>
 
 ヤズー
 

 

 

 

 

 

 

「キシャアアアーッ!!」

「グゴォォォォッ!!」

 とても人語とは思えない雄叫びをあげ、襲いかかってくるDGソルジャーども。

「ハァァッ!」

「えーいッ!」

「うらぁぁッ!」

 応戦するのはもちろん我らがストライフ一家。

 

 連中がこの場所を嗅ぎつけたのは、兄さんたちが発ってから、まもなくのこと……そう二時間ばかり経ってからのことであった。

 あらかじめ襲撃がわかっていたわけだから、戦闘もこちらのほうが遙かに有利。それどころか、家や周辺に被害が及ばぬよう、バトルシーンを選ぶことさえ可能であった。

 別荘地に人の少ない時期とはいえ、うちのあたりは無人というわけではない。

 そこで自宅の裏手……我が家は海に面した小高い丘陵地にあるのだが、幸いその裏手は、平原になっているのだ。おそらく家庭菜園を行うためであろう。家の囲いの中は豊かな土……そしてその向こう方が芝生続きの平原なのだ。ヴィンセントはそこを利用して花を育てている。できれば、花壇を守ってやりたいとそう考えつつ、俺は闘った。

「ギェェェー!」

「シャアァァァ!」

「邪魔だッ! 消えやがれッ!」

 セフィロスの長刀がひらめくたび、黒い影がバッサバッサと斬り倒されてゆく。いっそ痛快なほどだ。彼のセリフではないが、地に伏した連中は言葉どおり『消えてゆく』のであった。

「ギシェェェェ!」

「…………!!」

 背後から襲いかかられ、慌てて身をかわす。

 次の瞬間、漆黒の影は、マサムネに両断され霞と消えた。

「気を抜くな、イロケムシ。このボケが」

「……ちょっとォ、ずいぶんな言われ方じゃない? 俺、不利なんだからねェ。少しは気を使って頂戴」

「ケッ!こんな雑魚相手に、遅れを取るな」

「使いにくいのよねェ、剣って。疲れるしさァ、肩凝っちゃう」

 ブツブツと文句を言った。

 万一の時を考え、家の破損と周囲への影響のために、飛び道具は使わないことにしたのだ。兄さんから予備の剣を借りたのはいいものの……正直、俺は剣技は得意ではない。体技はそこそこのレベルだと思うが、どうにもこうにも銃以外の武器は苦手なのであった。

「ヤズー、大丈夫ッ!?」

「ああ、カダ。……剣術は難しいな、フフフ」

 俺は駆け寄ってきた弟の頭を撫でた。

「のんきな野郎どもだ。……だが、あらかた片づいたな」

「そうだねェ。張り合いがないことこの上ない」

「フン、斬られそうになってたくせによく言いやがる」

「ま、いいじゃん。結果よければすべてよしってことで」

 軽くそう返すと、周囲をぐるりと見回す。倒れた者どもは絶命を示すのか、その姿は灰燼と帰してしまう。いったいどれほどの数を打ち倒したのか、まるきり覚えがないが、四人がかりであったわけだから、それなりの数ではあったはずだ。

「ねぇ……これで終わり?」

 拍子抜けしたようにカダージュが言った。

「そうだね。……四人がかりだったから、早かったんだろう」

「よかった。おうち、どこも壊れてないよ!ヴィンセント、きっと喜ぶ!」

 ロッズが嬉しそうに言う。

 花壇の花も無事というのは望外の喜びであった。

「……フン、呆気ないものだな。家に戻るぞ」

「うん。……ねぇ、セフィロス」

 ぴょんぴょんと軽い足取りで室内に戻ってゆくカダージュとロッズ。彼らを横目に俺はセフィロスに声をかけた。

「なんだ」

「……俺たちもホテルに行っちゃまずいかな」

「気になるのか?」

「うん……ちょっとね。まぁ、ヴィンセントも銃を持っていったし……兄さんもついているから心配はいらないと思うけど」

「…………」

 少しだけ考える素振りを見せると、セフィロスは軽く頭を振った。横にだ。

「……貴様の気持ちもわからなくもないが……オレたちは動かんほうがいいだろう。少なくとも赤ん坊が引き取られる24時間以内はな」

「まぁ……ね、やっぱり、そっか……」

「オレに比べたらダメダメのボケボケで足元にも及ばんガキだが、ヴィンセントと一緒となりゃ、いざということになってもそれなりに頑張るだろう。……携帯だけは気をつけておけよ」

「……わかってる」

 俺はポケット中の携帯電話を服の上から確認した。

 

「ヤズー! ねぇ、お腹空いちゃったよぉ!」

「早くー!!」

 ふたりに急かされ、俺はセフィロスを追い抜いて、室内に戻ったのであった。