Fairy tales
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<16>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

 

「セ、セ、セフィロスッ!」

「もぉ、セフィロス!」

「アホセフィ!」

 またもや、俺たちの声が揃った。なんか今回の事件では、セフィのこと怒鳴ってばかりだ。

 でも仕方がないと思う。だって、この人ってば、本当に無神経で信じられないような質問するんだもの。

「セフィロス、あなたねェ! 女の子に面と向かって何訊いてるのさ! ああ、ごめんねェ、シンデレラちゃん。うちの野獣ときたら、もう無神経で……」

「もう、セフィってば、黙っててよ! 今、大事なところなんでしょ? 変な質問してる場合じゃないだろうッ」

 俺はグイグイとセフィの腕を引っ張った。ヴィンセントのほうは、シンデレラちゃん以上に真っ赤になっちゃって動けなくなっているから。

「おい、ボケナスども。いいか?何度も言うようにレオン系堅物男を落とすんだぞ? おそらく王子とやらは童貞だろう」

「あのさ……」

「童貞王子相手が処女につとまるか? 最悪の組み合わせだろ。おまえら、もっとリアルで考えろ!」

「ちょっと、セフィ……ドーテイとかそんなのわかんないじゃん」

 レオンの名誉(笑)のために、俺は反論してやった。だが、非論理的なセフィロスは、

「ツラがまえを見りゃ大抵わかる!」

 と言ってのけたのだった。

「いいか、未通娘ってのは、男にとっちゃ一番面倒くさいし、マグロだぞ? 出来ればもっとも避けたい相手のはずだ」

「それはセフィの主観じゃん。俺だったら、うれしいですよ? コレ。 相手が初めての人だったら。ねぇ、ヴィンセント!?」

「え……あ……まぁ……」

「ちょっと、いきなりヴィンセントに振ったら可哀想でしょ」

 と、俺をメッというふうに睨み付けて、ヤズーはセフィロスに言った。

「いや、だからね。あなたの付き合っていた玄人さんと違ってさ。いきなり初回でそこまではいかないでしょう」

 そうなんだよ、セフィって、感覚ズレてるから。いやですなァ、これだから爛れた性生活を送ってきた男は。

「……そういうもんか?」

「そういうものに決まってるでしょう」

 ため息混じりにヤズーが言った。

「そりゃまぁ、男女の話だから、何があるかはわからないけど、王子様なんだから、軽はずみなことをするとは思えないし」

「フ〜ン……」

「だから、初対面では、まず特別に思ってもらうことが必須かな。ポイントはセックスアピールと可憐さ……ってところかしらねェ。イマイチ、王子様の好みのタイプがよくわからないんだけどさ」

「……舞踏会ってのは、どれくらいの数の貴族が集うものなのだろうな……」

 ポソリと小声でつぶやいたのは、ヴィンセントであった。まだ頬の赤みは落ち着いていなかったが、思案深げな彼の声音に、自然注目が集まった。

「なんで? ヴィンセント」

「いや……クラウド…… 舞踏会は城で行われるわけだし、一国の王子が出席するとなれば、さぞかし大きなイベントだと思うのだ。ほら、例のポスターに書かれていただろう? 今年、王子は二十歳になるらしい」

「ああ、誕生パーティーってことね」

 とヤズー。

「この時代、王子の生誕祝いならば、おそらく主立った貴族は皆招かれていると考えられる」

「うん、そうかもね。でも、人の数が多いなら、俺たちが紛れ込んでシンデレラちゃんを見守るのもやりやすいじゃん」

「それはそうだが…… 逆説的に考えると、それだけ彼女のライバルも多いと言えると思う」

 ヴィンセントはカダたちと親しげに話している彼女に、ちらりと目線を送った。

「あー、まぁ、確かにそれはそうだよねェ。ただこのシチュエーションは最初からわかっていたことだからさァ」

 仕方がないよ、というように、両手を広げてヤズーが頭を振った。

「ん……それはそうだな。我々も、彼女に可能な限り協力しよう」

 ヴィンセントがそう言って微笑んだ。

 

 だが、事件は翌日勃発した。そうまさしく舞踏会を迎えたその当日に……