Fairy tales
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<15>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 

 

 

「てめーら、オレたちはボランティアじゃねーんだぞ」

 さらにキツイ言葉で言いつのるセフィロス。なんだよ、元の世界に戻りたいのは俺たちだってみんな同じだってのに。

 そんなに支配人さんに会えないのがツライとかっての?どーせただのスケベ心だろうが、ケッ!

「その女が上手いことやってくれねェと、こちらの目的が成せないだろう」

「セ、セフィロス……」

「どうやら、王子とやらは、身持ちの堅そうなクソつまらない男らしいからな。陥落させるにはテクが居るだろ」

「そのキャラ予測って、顔がレオンだから?」

 と、ヤズーが口を挟むと、

「あの手のツラはたいていそんな性格だ」

 と、無礼にも言い返してきた。

「ちょっとォ、さすがに強引じゃない、セフィロス。確かにレオン似だけど、彼本人じゃないっていうのは、俺たちが一番よく知っているじゃない」

 もっともなセリフをヤズーが口にした。

 そう、あのポスターの似顔絵は、レオンそのものと言っても通りそうだが、別人だというのは俺たちが誰よりよくわかっている。

 俺たちの知っているレオン……スコール・レオンハートは、ホロウバスティオンで、『クラウド』と一緒に生活しているのだから。

「だから言ってんだろ? あの手の『ツラ』はって」

「そうはいってもさァ〜」

「まぁまぁ、皆…… 彼女は……シンデレラは、とても魅力的な女性だから……きっとその王子も好意を抱くだろう」

 と、穏やかにまとめたのは、ヴィンセントであった。

 でもね、セフィじゃないけど、『好意』くらいじゃ困るんだよ。物語の中の王子は、ガラスの靴ひとつを手がかりに、国中の女の子の中から彼女を探し当てたくらいなんだから。

 なんつーか、恋人の欲目じゃなく、ヴィンセントってば、純粋で善意的で……よくタークスなんて陰謀うごめくセクションに居られたよなァと思う。

 人を欺いてナンボの、ツォンとかレノなんかにゃ向いているだろうけど、ヴィンセントには全然似合わない。唯一、あそこのユニフォームの黒スーツだけは、禁欲的で素敵かもしれないけど。

 あっと話が逸れちゃった。今は、とにかく目先の問題を片づけていかなきゃ。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、あのさ、ここだけの話だけどさ、兄さん」

 シンデレラちゃんの相手を、目覚めたカダージュたちに任せ、ヤズーが俺たちに小声でささやいた。

「その王子様が、ホントにセフィロスのいうように、レオン系堅物キャラだったとしても、大丈夫じゃない?」

「どういうことだよ、ヤズー」

「だって、レオンの恋人って『クラウド』なんでしょう? シンデレラちゃん、兄さんにそっくりだもの。たぶん、あの王子様も気に入るはずだよ」

 ヤズーが当然じゃないという物言いで告げた。なるほど、彼にそう言われると頷けてしまう。

「まぁ、そりゃそうだけどね。可愛いモンね、シンデレラちゃん。俺もだけど」

「よかったな、クラウド……」

「ああ、ったく!どこまで甘いんだ、貴様らは! おまえら、本当に男か!?」

 苛立った声を上げるのはセフィロスだ。どうも彼はこの童話の中の世界とは相容れないらしい。このおっとりとしたペースが相当鬱陶しく感じるのだろう。それとも溜まってんのかなァ。

「なんだよ、セフィ。なに怒ってんの?」

「怒っているわけではない。……おい、いいか? フツーの大人の男が、見てくれだけの女子供を好きになるか? そこの娘と王子とやらはその場で初対面になるだぞ?」

「まぁ、そりゃそうだよね。事前にお見合いできるわけじゃないんだし」

「そうだ。そのたった一回のチャンスで、レオン系堅物男を落とさないとならないんだ。……結婚して欲しいと言わせるまでにな。あー、ヤダヤダ、ケッコンだとよ!墓場だな!」

「セ、セフィロス……」

 ひどく嫌そうにセフィロスが言った。……別にヴィンセントが悲しそうな顔する必要はないのに。

 それにしてもセフィってば、もう完全にあの王子様の性格を、疑似レオン化して見ている。

「……まぁ、確かにね」

「ガラスの靴ひとつで、そこの女を見つけ出すくらいの執着を、野郎に抱かせなければならないんだ。ぬるいこと言ってんじゃねェ」

「じゃあ、どうしろってのよ。それこそ初対面なんだから、綺麗に着飾って出会わせることくらいしかやりようがないじゃない」

「…………」

 むっつりと押し黙った後、またもやセフィロスはシンデレラちゃん相手に不躾な質問をしてくれた。

 

「おい、女。おまえ、処女か?」

 

 真っ赤になっちゃうシンデレラちゃん。

 ヴィンセントまで、一緒になってゆでだこ状態になってる。

 

 もう、ホンット、この人、サイテー!

 なんで、俺ってば、こんなヤツと付き合ってたんだか!!