〜 ディシディア ファイナルファンタジー 〜
 
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 スコール=レオンハート
 

 

 

 

 

 

「……それで?」

 先を促す。

「それで、クラウド? 俺の年齢がどうかしたのか?」

「レオン……いや、スコール。俺は25才のアンタを知ってる」

「……なに……?」

 その言葉は十分過ぎるほど俺を惹き付けた。

「なん……だと? 25才の俺……?」

「そう。……アンタは知らない未来のことだから、これ以上くわしく言うわけにはいかないんだけど……」

 そう前置きをしてから、彼は言葉を続けた。

「……でも、アンタと俺は、実際に会うことになるんだよ。その時、アンタは俺に『レオン』って名乗ってた。もっとも、住んでいる世界は別なんだけどね」

「…………全然、わからん」

 俺は正直にそう言った。

「わかんなくていいよ。どうして俺がアンタを知っているのか理由を説明しただけだから」

「…………」

 クラウドは嘘を吐いているようには見えない。というか、わざわざ俺に対して虚言を口にする理由がないだろう。

「……不思議な話だね」

 セシルがつぶやいた。

「だが、今の話でわかったことがあるだろ? 俺の言葉を信用してくれればだけど」

 クラウドがそう前置きをした。

「信じるッスよ。確かに不思議な話だけどさ。クラウドがウソなんか吐くはずないし、そんな理由も見つからないもんね」

「ティーダのいうとおりだな。俺も信じる」

 と、ジタン。

 ……まったく単純な連中だ。つい先ほど会ったばかりだというのに。

「ありがと、みんな。……アンタは?」

 クラウドがじっと俺を見つめて訪ねてきた。大きな青の瞳が、揺らめいてこぼれ落ちそうだ。泣き出しはしなかろうが、彼が現在の状況に、かなりのショックを受けているのは見て取れた。

「にわかには信じがたいことだが……おまえの言葉を疑う理由がない」

「相変わらず、回りくどい言い方。フフ、やっぱりレオンだ」

 クラウドはそんなふうにつぶやいた。

「……つまりさ。この場所に居る俺は、これまでの人生の『現段階での自分』じゃないってことだ。……みんなのことはよくわからないけどね」

「……どういう意味ッスか?」

「俺はコスタ・デル・ソルというところに恋人と一緒に住んでいたんだ。いろいろなことがあって、それらを乗り越えて……ずっと敵だと思っていたヤツとも、半分和解できたような……そんな状況にあったんだ」

 クラウドはひとつひとつの言葉を手繰るように、丁寧に話した。

「ふぅん……」

「そうか……」

 ジタンとセシルが、慎重な相づちを打った。

「クラウド、恋人いるんスね! 俺もッス! 今はちょっと会えなくなっちゃってるんスけど……一緒に住んでいるなんて超うらやましいッス!」

 空気が読めないのはティーダだ。

「でも、今は……ここに居る俺自身は、昨日までコスタ・デル・ソルに居た、23才の俺じゃない。もっと昔……まだ様々なことを思い悩んでいた頃の自分だ」

「クラウド、じゃ、今はいくつッスか?」

「この服装……神羅のソルジャーの服……バスターソードの様子から見て…… 21才……かな?」

「にじゅういち!!」

 ティーダ、ジタン、セシルの声が見事に揃って合唱になった。三人はマジマジとクラウドを凝視する。

「うん……今、俺、21才だ。……なんだよ、アンタら!」

 珍獣を見るような三人のまなざしに、クラウドは尖った声で抗議した。

「あ、い、いや……ゴメン。思いの外……年上だったんだね」

「ああ、悪い。あんま、そう……見えなくてな」

 セシルとジタンが言葉を濁した。

「っつーことは、この中で最年長ッスね! マジ、見えないッス!」

「うっさいな!見えなくても21才だもん! ああ、どうしよう! きっと、セフィもあの頃のセフィのまんまなんだ! だから俺を殺そうと……」

「セフィ? おまえの首を締め付けていた長身の男のことか?」

 俺は彼に問いかけた。

「うん……そう。 あ、ゴメン、レオ……じゃない、スコール。アンタが俺を助けてくれたんだよね」

 そういうと、クラウドは立って話しつづけるのが疲れたのか、そのまま芝生へヘタリと座り込んだ。周りの連中もクラウドに合わせて、円座のように腰を下ろす。

 この場所はまだカオスの軍勢に荒らされていない、緑の草木が生い茂る、穏やかな土地だ。

 クラウドを真ん中に、彼を守るようにコスモスのメンバーが取り囲んでいる様子を見ると……

 ……ここは俺も仲間に入るべきであろうか。

「……ちゃんと、お礼も言ってなかった。ゴメンね、ありがと、スコール」

 上目遣いで謝罪され、俺も彼に合わせて傍らに腰を下ろした。彼のそんな仕草は、ひどく幼くて……申し訳ないが、到底自分よりも年長の男には見えなかった。