とある日常の風景。 
〜神羅カンパニー with クラウド〜
<夕方の部>
 セフィロス
 

 

 

 

15:00

 

 副社長室。

 

 軽くノックをすると、すぐに入室を促される。

 ルーファウスめ。最近、とみに私との接触を図る。

 次期社長の権力を最大限に利用しているのだろう。金の髪に青い瞳……容姿はクラウドに似て、そこそこ好みではあるが、お高くとまったその態度に反吐がでる。

 私のクラウドのような、真面目で謙虚で可愛らしい人間とは似ても似つかないのだ。

「セフィロス、良く来てくれた」

 小倅が鷹揚に頷く。側には世話係のタークス・ツォンと、来客らしい白ヒゲの紳士がすぐに立ち上がった。

「セフィロス、こちらは開発部門に資金援助協賛をいただいているクリフォード氏だ」

「……どうも」 

 差し出された右手をおとなしく握り替えした。

 私の立場も神羅の社員ということになるわけだからだ。

「……いや、さすがに、圧巻ですな。英雄と呼ばれる方と握手出来るとは光栄です」

「…………」

 無言のままの私をフォローすべく、ルーファウスが口を開く。

「セフィロス、今後もこちらは最近、代替わりをされていてね。氏にはいろいろと協力していただくことになる。週末内輪の披露パーティーがあるが、君も予定をしておいてくれたまえ」

 ……偉そうに。ガキが!

「……残念ながら、遠征任務が入っており、席には着けそうにありませんが、今後とも変わらぬご協力、ご支援をよろしくお願い致したく存じます」

 ルーファウスにではなく、来客に向かってそう告げ、辞席の握手を受け取ってもらった。

 さっさときびすを返し、部屋を出る。

 ツォンとルーファウスが眉を顰めているだろうが、そんなことはどうでもいい。つまらん来客の相手をさせられる時間はないのだ。

 クラウドは食堂と言っていたな!

 ミルクプリンだなどと……そんなもの、あの子が望めば製造会社そのものを買い取ってやるのに!!

 

 15:30……食堂到着。

 

 しかし、そこには子チョコボのような愛らしい姿はなかった……(泣)

 

 

19:00

 

 ふて寝しているところ、タークスのツォンから呼び出しがかかる。

 またもや副社長室だ。

 つまらん小言なら聞くつもりもなかったが、夕食を誘われた。私の分も用意してくれているということだ。食堂に行くのも業腹だし、外食もわずらわしく、私は重い腰を上げることにした。

 

 

19:10

 

「やぁ、セフィロス、掛けてくれ」

 機嫌良くルーファウスが言う。

 数十人で会議ができそうな巨大なテーブルには、色とりどりの料理が並んでいる。いったいこれを何人で食うというのだろう。

 ツォンは給仕よろしくティーポットを持ったまま、突っ立っているだけだし……

 私は言われるがままに出口に一番近い席に座った。

 促されるままに食事をする。料理自体は十分に旨いのだが、一緒に飯を食っている相手がルーファウスだというのがいただけない。クラウドだったらどれほど美味く感じることだろうか。

 しかもふたりきりでごちそうを前にしたなら。

 クラウドは同年代の友人達といると、気を張って甘えてこないのだが、ふたりとなればワケは違う。

『あ〜、セフィ、見て、これ! ゼリー、綺麗な色〜』

『ねぇ、俺もちょびっとだけワイン飲んでもいいかな? ちょっとだけ、ね?』

『あ、それ、すごい美味しそう。ちょっとちょうだい? あ、ソース垂れちゃうよ! あーん』

 

「……あ〜ん……」

「……は?」

 ルーファウスの声で正気に戻る。

「……あ、いや……何でもない」

 いかん。

 最近、妄想する時間が増えてきているような気がする。

 ゴホンとひとつ咳払いをすると、私はしずしずと食事を再開した。

「セフィロス、さきほどの私の話を聞いてくれていたか?」

 そう確認され、まったく覚えがないと正直に言うわけにもいくまい。

 さりげなく要点を繰り返してくれるよう頼むと、赤ワインに口を付けた。

「よけいなお世話かもしれないが、あの少年は君がまともに相手をするべき器だとは思えないのだが」

 話を聞いていなかった理由を、クラウドのせいにするルーファウス。

 若いくせに耳年増の小面憎い野郎に、私のクラウドをバカにされるのは我慢為らない。もっとも、ルーファウスの話に意識がいかなかったのは、クラウドのことを考えてたわけだから、「クラウドのせい」という点においてはあやまりではなかったが。

「まったくもってよけいなお世話だな」

 私は素っ気なく言い返してやった。

 ルーファウスはさらになにか言いたそうにしていたが、私の機嫌を損ねるのは得策でないと考えたのだろう。その話題をさけ、他の話をしてきた。

 それはあらたなマテリアや軍事機器開発のことで、それなりに私の興味を引いたのであった。

 

 

21:00

 

 シャワーを浴び、ローブ一枚の姿で、私はもう一度寝台に転がった。

 夕食の前まで横になっていたのに、妙に疲労を感じてした。

 何もやる気が起きない。

 ……今日の昼までは天国だったのに。

 こんな時間だが、もう眠ってしまおうか……とさえ思っていたとき、コンコンと遠慮がちなノックの音が聞こえた。

 

 クラウド……!!

 扉の叩き方ですぐにわかる。

 叩く前まで、どうしようかと迷っていたような……自信のなさそうな叩き方なのだ。もし、私が気付かなければ、それはそれで仕方がなかったと考えるクラウドならではの……

 

 にやけそうな頬をひっぱたいて、私はドアを開けてやった。

 思ったとおり、そこには小柄な少年がいた。