〜 ALL STARS 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<53>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 

 ……数日後……

 

 俺たちは予定通り、元の家に戻ってきた。

 そう、このクラウド・ストライフが戸主をつとめる、コスタ・デル・ソルの別荘へ、だ。

 

「ヤズー。おかわりは? 腕が疲れたなら、私が食べさせて……」

「い、いや、もう十分。ホントお腹いっぱいだし!」

「そうか……? 口に合わなかったなら……」

「違う、違う! とっても美味しいんだけど、ずっと横になってばっかだからさ〜。そんなにお腹が減るもんじゃないし」

「だが、きちんと栄養を取らなければ傷に……」

「いやいや、もうね。ぶっちゃけ寝ている必要なんてないくらい快復してるから。そりゃマラソンしたりとかはできないけど、日常的なことなら……」

「それはいけない。きちんと寝ていてくれたまえ」

「でもさ、ちょっとくらいなら」

「『いけない』と言っているだろう。食事がもういいなら、フルーツを食べようか。ビタミンも身体に大切な栄養素だ」

「……はぁ、ああ、うん……」

 

「ギャハハハハ!毒舌イロケムシも形無しだな!」

 無遠慮に大声で笑ったのはセフィロスだった。あれから間もなく、ヤズーの状態が落ち着くのを待って、俺たちは懐かしの我が家へ戻ったのだった。

 わずか十日程度とはいえ、しばらく無人だった我が家。

 帰って来るなり、ヴィンセントは部屋中の扉を開け、空気の入れ替えを済ませた。

 ジェネシスが荷物をまとめて、こちらにやってくるまでに、あらかたの掃除を済ませ、俺とカダはペットショップにヴィンちゃん用の餌などを買い出しに行った。

 食料品関係は、人間ものも動物用のものも、生ものはすべて処分してからミッドガルに行ったわけだから。

 

 それから、まったりと一週間ほどが経ったのが、今現在の状況である。

 

「ただいま、女神!買い出し部隊、無事帰着!」

「ふあぁぁ、あっつい! 兄さん、ポカリ〜」

「あ、俺はビールな、チョコボっ子」

 いやもう、超ウザイんですけど!

 元々外ツラの良いジェネシス。カダやロッズは、彼に窮地を救ってもらったこともあってか、さらにジェネシスになついてしまった。

 っつーか、もうほとんど家族状態の慣れっこである。

 まぁ、俺的にもヴィンセントを守ってもらったという負い目があるから、積極的に追い出すわけにはいかないんだけどね…… でも、それとこれとは話が別っつーか。

 カダやロッズたちと仲良くする分には、なにもいうことはないんだけどさ。

 相変わらず、こいつは『女神、女神』って……迷惑なことこの上ない。

 さらに言わせてもらうなら、ずっと物置部屋として使っていた、ヴィンセントの部屋の斜め前の六畳を、わざわざこいつのために掃除させられたのだ!

 まぁ、中に押し込めてあったガラクタは、ほとんどが俺のものだったわけだが。

 

 

 

 

 

 

「はいよ。ポカリとビール」

 俺は無愛想に、缶のままテーブルに置いてやったが、奴らは何とも思わなかったらしい。一仕事終えた心地よさか、一気に空けてソファでくつろぐ。

 もう、ホント、自分の家状態ですね、コレ。

「やぁ、ヤズー。具合はどうだい?」

 ビール缶片手に、ひょいひょいとサンルームに顔を出すジェネシス。

「お疲れ様、ジェネシス。いやもうね、何ともないんだけどさ。この人が許してくれなくってね〜」

 と、ヴィンセントの顔をちら見してぼやいた。

「あたりまえだろう? 退院の時に医師と約束したではないか。一ヶ月は極力寝台で休養を取るようにと」

「いや、一ヶ月って、なにもそんなに厳密にさぁ〜」

「医師のいうことは聞くべきだ。その道のプロのいうことはな。はい、ヤズー、口を開けて」

「……リンゴくらい自分で食べられるってば。恥ずかしいよ」

 いつもはベタベタと、恥ずかしげもなくヴィンセントにくっつくくせに……

 どうもヤズーはセフィタイプの性格らしい。自分が弱っている姿を他人に見せたくないってヤツ……

「いいなぁ、うらやましいよ、ヤズー……」

「アンタは何を言ってんですか? ヤズーはね、怪我人ですからね。ヴィンセントがやさしくすんのも仕方がないことですワ。『恋人』の俺的にも。でもね、アンタはただの短期居候兼お手伝いさんでしょ、コレ? ヴィンセントになれなれしく近づくのは許されていませんからね」

 いつも負けているわけにはいかない。ツケツケと口を挟んでやると、ヴィンセントが穏やかだが確固とした口調で諫めてきた。

「……クラウド。我々は彼の好意に甘えているのだぞ?感謝こそすれ、つまらぬ戯れ言を……」

「だってェ〜!」

「ジェネシスが家のことを手伝ってくれるおかげで、私はヤズーの看病に集中できる。とてもありがたいことだ」

「それはそうかもしれないけどさ〜。もっと日常生活的なことでさぁ〜」

 俺はぐねぐねと駄々を捏ねつつ、ヴィンセントのとなりの椅子に腰掛けた。

「日常生活的なこと……?」

「だいたいさぁ!せっかくこの家に戻ってきたのに、まだ一日も一緒に寝てないじゃん! ヴィンセント、忙しい忙しいばっかでさァ〜!」

 俺の明け透けな物言いに、例の如くセフィがソファで、『はぁぁ〜』と呆れたようなため息を吐く。

「ク、クラウド! どうして、おまえはそういうことを平気で……」

「別にいいじゃん言っても。ちゃんと言わないと勘違いしそうな人もいるしね〜」

「よ、よしなさい、クラウド!……す、すまない、ジェネシス。気を悪くしないで欲しい」

「あっははは、大丈夫。俺は大人だからね」

 神羅寮に居た頃のような子供扱いに、さらに言い募ろうとしたのだが、そこに割り込んだのはカダージュだった。

 いや、割り込んだといっても、ヴィンセントの取り合いの話ではなくて。