〜 ALL STARS 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<43>
 
 クラウド・ストライフ
 

 

 



「ねぇ、セフィ。本社で何があったの? ネロを仕留めたの?」

『ああ、いや、それは……』

『すまないな、チョコボ。凶行を阻止することはできたんだが、その後に逃げられてしまった』

 …………

 ……誰コレ?

 っていうか、聞き覚えのある声なんだけど……

『チョコボ、聞こえているかい? ああ、だが、大丈夫。女神は無事だ。きっと神様が守ってくれたんだよ』

 ……この的外れな受け答えは……

「おい…… アンタ、ジェネシス〜ッ!?」

 俺は携帯電話に向かって、思い切り怒鳴りつけてしまった。側を通ったボーイが、吃驚してこっちを見つめてる。

 ヤバイ、ヤバイ!

「ジェネシス!? どうしてアンタが神羅本社にいるんだよ! いつ来たの!? なんで!? あっ、セフィの言っていた助っ人って……」

『女神がここにいるからさ、決まっているだろう?』

「アンタは宇宙人か! どうして言葉が通じないんだよ!」

 イライラしてまたもや大声になりそうなのを、ぐっとこらえ話を続ける。どうも今の流れだと、直接ネロに対峙したのはジェネシスらしいのだ。

『まぁ、いろいろあってさ。ここでのことをいうのなら、おまえの想像通り、ネロとDGソルジャーが神羅ビルを襲った。……いや、正確には「女神を」だね』

「どうして……? あんなにセキュリティチェックしてたじゃん! タークスだって……レノはツォンが居るって言ってたし……」

『屋上から入られたらしい。まぁ、タークスの面々は防波堤にはなり得ないよ。特にDGソルジャーみたいなのが相手ではね』

 やや鼻白んだようにジェネシスが言った。この人、こういう言い方するんだよなぁ。やさしく突き放した物言いっていうか。

『それより頑張ったのは、ここのお坊ちゃんだね。ぎりぎりで俺たちが到着するまで、女神を守ってくれた』

「お、お坊ちゃん……? ルーファウスのことか?」

 ごくりとつばを飲み込んで、すぐに訊ね返した。

『そうだよ。彼もけっこう怪我がひどくてね。緊急手術中だ』

 ガーン!と頭を殴られたような気がした。なぜか俺はひどくショックを受けていた。

 別にルーファウスの身柄なんざ心配するスジじゃないのに。だが、あのルーファウスがヴィンセントを守るために大けがしたって……?

 電話機の向こうで、ごそごそと何かのやりとりの気配があり、ふたたび通話相手がセフィロスに変わった。

『クソガキ。いちいちショックを受けるな。ギリギリ間に合ったと言っただろう。ルーファウスの怪我は確かに軽いものではないが、命に別状はない。銃弾の摘出と縫合をしているだけだ』

「銃弾の摘出って…… ヴィンセントをかばったって……? ヤツが、どうして……そんな……」

『ヤツにとっては、出来うる限り当初の約束を果たしたつもりなんだろう。……もっとも、ヴィンセント本人の性格に惹かれたからかもしれないが』

「…………」

『いずれにせよ、おまえが気に掛けていた人物たちは、多少の怪我をした者どもも居るが生命に別状はない。おまえも当初の任務を忘れるなよ』

 セフィロスは、神羅時代の上官のような物言いをした。

 そう……俺は、ルーファウス神羅として、最後まで今回のイベントを成し遂げ、同時に皇太子殿下を守らなければならない。

「……わかってるよ。セフィたちはこれからどうするの?」

 俺は低く訊ねた。そろそろ席に戻らねば、皆が不審に感じるだろう。

『レノをヴィンセントの護衛に付けて、オペラハウスに行く』

「ホ、ホントに!? ヴィンセントも来るんだね!?」

『別に驚くようなことじゃないだろ。むしろ神羅ビルに居るより安全だ。……それに』

「それに?」

『守らなければならん対象が、一度に会してくれていたほうが手間が省ける』

「そ、そっか……それもそうだよね。わかった。じゃ、俺、席に戻る。……セフィ、ヴィンセントのこと頼むよ」

『何度も同じセリフを繰り返すな。最初からそのつもりだ』

 ため息混じりにそういうセフィロスに、俺はさらに言葉を重ねた。

「違うよ、身柄の安全っていうか、そんだけじゃなくて。ジェネシスの魔手にも注意してよね、コレ! あ、もちろん、セフィもヴィンセントにちょっかい出さないでよね! 今、ヴィンセントは目も見えないし、口だってきけな……」

 ブツッ!

 唐突に電話が切れた。

 セフィってば、相変わらず不躾なヤツ!

 

 だが、どのような経緯があったにせよ、ヴィンセントの無事が確認できたのは、大きな収穫であった。

 ビリビリに張り詰めていた神経を、十分過ぎるほどにやわらげてくれた。

 もちろん、ロッズやカダの無事が聞けたのも大きかったが、やはり俺にとって、ヴィンセントは別格なのだ。

 

 俺は会議所からガメてきた携帯を、そっとポケットに忍ばせ、そのまま席に戻ったのであった。

 皇太子殿が、きちんと食事をし、歓談していたのが嬉しかった。