In the middle of summer
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<11>
 
 ヴィンセント・ヴァレンタイン
 

 

 

 

 

「……セフィロスはともかく……兄さん?」

 いっそやさしいとも言えるような猫なで声で、ヤズーがささやきかける。

 クラウドがビクッと背筋を伸ばした。さすがに悪ふざけが過ぎたと反省しているのだろう。いや、そんなくだらぬ遊びに夢中になっていた、おのれを恥じているのかもしれない。

 

「ヤ、ヤズー、待ってくれ」

 私は腰を浮かして、長身の青年に声をかけた。

「セ……ヴィンセント?」

「いいんだ、違うんだ」

「…………」

「い、いや、ちょっと悪ふざけが過ぎただけだ。クラウドたちは悪くないんだ」

 私はそう訴えた。ヤズーがこっちを見る。長い睫毛に覆われた瞳が不思議そうに大きく見開かれた。

「……ま、ヴィンセントがそう言うのなら、仕方ないけどね」

 ふっと殺気をとくヤズー。

 見た目は誰よりも女性的で、綺麗な人だが、怒らせると怖いのはこういう人物なのだと思う。

 

 カダージュが眠いとぐずり出す。

 ロッズはと見てみれば、彼は巨躯を「く」の字に曲げて、ぐぅぐぅといびきを立てていた。

「ほら、ロッズ、寝るなら部屋で寝ろ。カダももうおねむか?」

「う〜ん……眠いよ……ヤズーと一緒に寝る〜……」

 ずるずると引っ付く弟を適当にあやして、ヤズーは部屋を出ようとした。

 

 ふと思いついたようにきびすを返す。

「ヴィンセント」

 と私を呼ぶ。

「……え、あ……な、なんだろうか?」

「……おやすみ」

 それだけいうと、彼はにっこりと微笑んだ。さきほどの氷のような微笑とは天と地ほどの差がある。

「あ、ああ……お、おやすみ」

 毒気を抜かれたような表情のクラウド。ひどく楽しげににやにや笑っているセフィロス。

 

「あ、あの……では、私もこれで……」

 私はなんだかひどく居たたまれない気分になり、そそくさと場を辞した。

 クラウドのことは気になっていたが、セフィロスが側にいてくれる。

 

 妙にバクバクと高鳴る胸を押さえて、私は私室に戻った。