〜 午 睡 〜
〜コスタ・デル・ソル in ストライフ一家〜
<60>
<18禁注意!>
 ヴィンセント・ヴァレンタイン
 

 

 

 

 

「ん…… ジェネシス……」

 鼻にかかったような甘い声。自分の口から出ているとは到底思えないようなつぶやき。

 私は彼の髪に指を差し込み、もうすでに私が十分に高まっていることを仕草で伝えようとした。

 ……君に触れられることで、身体の熱をもてあましているのだと…… だから早く……早く先をして欲しいと……

 

 それが伝わってくれたのか、熱の中心に、強烈な刺激を感じた私の身体は、魚のように跳ね上がった。

 吐き出す限界まで焦らされたせいか。軽くそこに触れられただけだというのに、赤面するほどの反応を返してしまった。

 ジェネシスも少し驚いたのだろう。

 熱に熟んだ眼差しではなく、ちらりと私の表情を盗み見た。

 そのことで、ようやく消えかかっていた羞恥心が戻ってきてしまう。

 今更だというのに、私はジェネシスから身体を反らせ、顔を腕で隠す。もちろん、下肢はしっかりと押さえつけられているので、上半身を背けることしかできなかったのだが。

 

「……女神、顔……隠さないでくれ」

「…………」

「……キス、させて」

 そういいながら、私の腕を無理矢理外してしまった。乱暴ではないが、少し力を込められただけで、ジェネシスにはかなわない。

 一体、今夜何度目の口づけだろう。

 軽いものも、深いものも、何度も何度も味わった。ジェネシスはキスが好きなのだそうだ。想いを伝えるのに一番良い方法だという。

 饒舌で言葉巧みな彼が、物言いよりも、口づけという行為が、一番気持ちを伝えられるといったことが意外に感じた。

「ん……」

 長くて深い口づけに、甘えた声が鼻先からこぼれる。

 彼はそうしたまま、下肢に指を絡ませてきた。あの長くて綺麗な指で、欲情したそれに触れられているのかと想像するだけで、めまいがするほど恥ずかしくなる。

 だが唇に口づけられたままの体勢では、顔を背けることも身体をよじることもできない。

「ん……ん……ッ」

 息を詰まらせる私を苦しそうに感じたのか、彼はようやく唇を解放してくれた。

 そのまま、喉元に口づけ、あばら骨の浮き出た胸を丹念に愛撫してくれた。

 

「あ……あッ……」

 堅く張り詰めたその部分は、もう限界だ。軽くしごかれるだけで、今にも吐き出してしまいそうなほどつらくなっている。

「ジェネシス…… もう……」

 我慢ができないと伝えようとした。早く入ってきてくれれば、一緒に墜ちることができる。

 私は相手のいる前で、自分だけが昇りつめる様を見せるのは嫌なのだ。

 嫌というか……恥ずかしくて恥ずかしくて、それこそ、気が違ってしまいそうになる。

「ジェネシス……早く……」

 私は口に出してねだった。私は大丈夫だから、早く来てくれと。

 だが、それをどう聞き取ったのか……

 言葉が足りないと言われればその通りなのだが、このようなときに、くわしく語る余裕などないだろう。

 もはや抵抗する力を失った、私の両の脚を押し広げると、なんの躊躇もなくそこに顔を埋めた。

 絡みつく生温かい感触が、彼の口腔内だと認識した瞬間、私は今度こそ本気で抗った。

「……やッ! ……いや……! やめ……」

 言葉にならない単語で、必死に反抗する。力の入らない腕で、それでもジェネシスの髪を握りしめ、そこから離れてくれと促す。

「ジェ……ネ…… や……」

 乱暴にならないよう力の加減をするのが、ひどく難しかった。

 だが、彼は解放してくれない。射精を促すために舌がリズミカルに私自身を嬲る。時折軽く歯を立てられ、私は必死にかぶりを振って意識を拡散させる。

 泣くつもりはなかったのに、生理的な涙がぼろぼろと頬を伝い、こめかみを濡らした。

 もはや我慢も限界だったのだ。

 

 

 

 

 

 

「ああ……ッ! ん……ッ! あぁ……ッ」 

 腹が大きく迫り上がり、背が弓のように撓る。

 必死にこらえた私は、その分激しく吐き出したと思う。それも彼の口腔内に……

 快楽の余韻と、羞恥とで、頭の中で、がんがんと鐘が鳴り響くようだ。心臓が激しく鼓動し、血の流れが恐ろしく速くなる。

 せわしない呼吸を繰り返す自身が、あまりにも浅ましく、消えてしまいたいくらいに恥ずかしかった。

 

「……大丈夫かい、ヴィンセント? ああ、そんなに泣いてしまって……」

 私があまりにも荒い息を吐いているせいなのだろう。

 ジェネシスが身を起こして、心配そうに様子を伺ってきた。

「……イヤだって……いった……のに……」

 私は羞恥心を打ち消すために、わざと恨み言を綴っていた。あれほど興奮していたくせに、なにをいまさらと笑われてもおかしくないセリフだったと思う。

「あん……な…… 私……ばっかり……」  

 また、ぼろぼろと涙がこぼれた。ジェネシスは私の言葉よりも、涙に動揺したらしかった。